秋晴れのこの佳き日、戴帽式を迎えられた皆さん おめでとうございます。また本日は御父兄の皆様を始め、多くの御来賓の皆様にもこの厳粛な場にお立合い頂き、誠にありがとうございます。
本日、皆さんはキャンドルに火を灯し、看護師の先輩である北原副校長、山口教務主任からナースキャップを被せてもらいました。戴帽式は、看護の道を目指す者が改めてその意味を考え、決意を新たにし、自覚するための儀式と言われています。しかし本日皆さんには、ご父兄や、中学、高校の先生、そしてこれまでにお世話になった全ての方に対しての感謝の気持ちを持って、臨んで欲しいと私は思っています。
看護学校には1年のうちに、3つの大きな式典があります。入学式と卒業式、そして戴帽式です。4月の入学式はまだ「平成」でしたので、本日は「令和」になって初めての大きな式典ということになります。今、皆さんの前に立っているナイチンゲール像は、本校の前身である秩父准看護師学校から引き継いだもので、昭和、平成、令和と、秩父の看護学生を見守ってきました。また本校の戴帽式には他の学校にはない特徴があります。それは最後に歌われる校歌「われらともしび」です。この曲は昭和42年、当時准看護婦学校の校長だった健生堂病院の奥野潔先生が作詞作曲されたもので、まさにこの戴帽式を曲にしたものです。歌詞に出てくる「ともしび」とは、さっき皆さんがナイチンゲールから灯してもらった、キャンドルの灯のことです。この「われらともしび」も、昭和、平成と秩父の看護学生に歌い継がれ、本日が令和最初の「われらともしび」ということになります。皆さんにとって一生に一度の戴帽式です。是非そのことをかみしめて、歌ってもらいたいと思います。
入学後の半年間、皆さんは非常な勢いで成長しているのに気付いているでしょうか。看護学概論や保健医療論、また解剖生理学を勉強し始め、耳慣れなかった多くの医学用語を使えるようになってきているはずです。すでに皆さんは看護師の卵として、我々医療者の仲間に入りつつあります。そして明日からは実際に病院へ出て、患者さんと向き合い、そこで働いている先輩達から教えを受けることになります。
いま、超高齢化社会を迎え、日本の医療や介護は大きな転換期にあります。医学は日に日に進歩し、医療のシステムは社会情勢により年々変わっていきます。皆さんは明日から始まる看護実習で、近未来の自分の姿を見据えて勉強していくことが大切になるでしょう。そして皆さんの若く柔軟な思考力を存分に発揮してください。
秩父は行政と医療の関係が非常に近い、全国でも稀な地域と言えます。本日ご来賓の久喜邦康市長様を始めとした行政の皆様、またご臨席頂いている実習病院、施設の皆様には、是非本日の戴帽生達の成長を見守って頂きたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
最後に、皆さんが秩父の、いいえ世界中の病める人々から頼りにされ、慕われる看護師になることを祈念して、式辞とさせて頂きます。
令和元年10月18日
秩父看護専門学校 校長 井上 靖
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