本校からのお知らせ

令和6年度 第27回戴帽式 式辞

第27回生の皆様、戴帽式を迎えられ、おめでとうございます。

新型コロナ感染症がある程度落ち着き、世の中が日常を取り戻し、このように、ご来賓の方々や、ご両親やご家族の方々のご臨席をいただき、戴帽式を行えたことは大変喜ばしいことと思います。本日、戴帽生の皆様は看護師の象徴であるナースキャップを頭に戴き、ナイチンゲールの像からキャンドルの灯を受け取り、「誓いの言葉」を述べました。将来、看護師として病める人たちのよすが(心のよりどころ)になることを誓ったのです。

皆様もご存じの通り、ナイチンゲールは1853年から1856年におこったクリミア戦争に従軍し、多くの傷病兵の看護にあたりました。夜はろうそくに火をともし病室を見回りました。ナイチンゲールは戦争から戻った後、看護とは何かということについて著書を残しております。また、ベットとベットの間をどのくらい空けるのが最善かなど、現代にも通じる病院の設計に関する著書も執筆し、看護学校も創設しました。 著書の中では患者様の自然治癒力を高めるために環境を整備し、栄養状態をより良いものにすること、患者様に寄り添い、メンタル面での支えになるよう言葉をかけるなど、看護するうえで大切な事柄を具体的に述べました。これらの功績によりすべての看護師の目標とすべき人物として歴史に名を刻みました。しかし、ナイチンゲールが現れるまで看護の精神が世の中に全くなかったわけではありません。

我が秩父看護専門学校の校歌「われらともしび」の3番の歌詞に「悲田院」という言葉が出てきます。悲田院は仏教の慈悲の思想に基づき、身寄りのない老人や孤児・病に伏せている人などを救うために作られた施設と言われ、古くは聖徳太子の時代に建てられたという伝承があります。文書で残っているところでは、光明皇后が奈良の興福寺に設置し、平安時代には京都に2か所作られました。奈良時代には鑑真により興福寺に、鎌倉時代には忍性(にんしょう)よって各地に悲田院が建てられました。病院というより福祉施設の様相がつよかったとおもわれます。 しかし忍性のころにはハンセン病の患者様なども収容しており、今のように医学が発達している時代ではありませんから、生活環境を整え、食事を与え、栄養状態をよくし、こころの支えとなるという看護が主体の施設だったと思われます。日本にもはるか昔から病める人や社会的弱者を慈悲の心で支えるという精神が脈々と続いてきているのです。時代が変わり医療がどんどん進歩しても看護の精神は全く変わりません。

皆様もこれから病院実習に行くことになりますが、看護師の技術を学ぶのはもちろんのこと、患者様を第一に考え、患者様に寄り添うことを常にこころがけてください。実習を通していろいろな問題にぶつかることもあると思いますが、その時は、是非この秩父看護専門学校の校歌の歌詞をおもいだし、看護師の仕事の大切さや、看護の心を再確認し、くじけることなく努力し、乗り越えていってください。そしてその乗り越える努力をしたという経験が皆様の人間性を高めることに役立つと思います。

現在、急速に少子高齢化が進み、看護や介護に携わる方々が増えることが社会から求められております。ぜひ皆様も社会の期待にこたえられるよう、技術や人間性を高め、立派な看護師になるように日々研鑽を積んでいってください。医療が進み、患者様の治療には医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師など、多くの職種の方々がかかわるようになりました。チーム医療が不可欠になりました。その中で、患者様と接する時間が一番長く、患者様の病状の変化にいち早く気づくのは看護師さんです。治療に関する疑問や不安などを患者様の口から直接お聞きする機会が多いのも看護師さんです。看護師さんはチーム医療の中心にいるといってもいいでしょう。コミュニケーション能力を磨き、将来、多職種の方々と意見交換し、よりよい医療を実現できるよう、努力していってください。

最後に、ご来賓の方々にお願いがご座います。秩父看護専門学校は秩父市から資金面でも多大なご援助をいただいております。この場をお借りして御礼を申し上げます。学校としましては、よりよい看護師さんを排出していくように努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。また、これから実習でお世話になる医療機関の皆様には戴帽生への温かいご指導をお願い申し上げます。戴帽生の皆さん、今このように学生生活を送れていられるのは、ご両親やご家族の御援助があってこそのことです。感謝の気持ちを忘れずに、ご両親やご家族の期待にこたえられるよう勉学に励んでいってください。またご家族の方々には、今後とも温かく見守り励ましていただけるようお願い申し上げます。

戴帽生の皆様の今後のご活躍を期待して、式辞といたします。

令和6年12月6日

秩父看護専門学校  校長 奥野暁子

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